当塾にお越しいただく生徒さん、特に高校生は、「世の中に貢献したい」「人の役に立ちたい」と話してくださる方が多くいます。
小中学生も知的好奇心が強く、社会に目を向けている様子がうかがえます。
興味や関心を広げていくなかで、自分も社会の一員なのだという意識が自然と育っているのだと思います。
作文や小論文に取り組む姿からも、社会で起きている問題を単なる知識としてではなく、「自分自身にも関わる問題」として捉えていることが伝わってきます。
こうした生徒さんたちは、早い段階から「自分」と「外の世界」をつなげる経験を重ねてきたように感じます。
では、子どもたちは、どのようにして社会に関心を持つようになるのでしょうか。
そのきっかけの一つは、私たち大人との会話ではないかと思います。
例えば、高校生と総合型選抜の志望理由書を作成するとき、私は「何がきっかけだったの?」と尋ねることがあります。
話を聞いていくと、幼い頃に経験した出来事や、読書を通して知ったことなどが、その後の関心につながっているケースが少なくありません。
当時は何気ない経験でも、後になって振り返ると、自分の関心や将来の目標につながるきっかけになっていた、ということもあります。
「自分」と「外の世界」をつなげるために、必ずしも多くのお金や時間が必要なわけではありません。
身近な人との会話や、一冊の本との出会い、社会で起きている出来事などが自分の知らなかった世界に目を向けるきっかけになることがあります。
国語の学習で読む文章も、その入り口の一つです。
文章を通して、これまで知らなかった人の考え方や社会の問題に触れる。
自分とは異なる立場の人がいることを知り、これまで当たり前だと思っていたことを見つめ直す。
そうして得た知識が、これまでの経験や自分自身の関心と結びついたとき、単なる知識だったものが、自分にとって意味のあるものへと変わっていきます。
筆記試験で点数を取ることは、もちろん大切です。
しかし、点数を取ることばかりに意識が向いていると、子どもたちが何に関心を持ち、何を考え、どのような世界を見ようとしているのかを見落としてしまうのではないでしょうか。
当塾でも、こうした学びを重ねた生徒さんが、それぞれの目標としていた難関校への合格を実現してきました。
もちろん、合格には日々の努力や学力の積み重ねが必要です。文章を読んで自分の考えを深め、社会や他者とのつながりを考える力も、日々の学びのなかで育まれ、入試問題に向き合う際にも大きな支えになります。
国語は、目の前の設問に正解するためだけの教科ではありません。
自分とは異なる考え方を理解し、自分の言葉で考えを表現し、進路や社会との関わりを考えるための土台にもなります。
だからこそ私は、合格という結果だけを追いかけるのではなく、生徒さん自身が何に関心を持ち、どのように世界を見ようとしているのかを、授業のなかで丁寧に受け止めたいと考えています。
出会った当初は筆記試験の点数に苦しんでいた生徒さんも、授業を通して知らないことを知る楽しさに気づき、結果的に点数を伸ばし、合格を勝ち取っています。
子どもたちの視線の先に何があるのか。
その関心を一緒に見つめ、学びを通して「自分」と「外の世界」をつなげていくことも、私が国語の授業で大切にしていることです。