中学受験で志望校に合格した後、「入学してから国語の成績が思うように伸びない」というご相談をいただくことがあります。
中学受験に向けて一生懸命勉強し、合格を勝ち取ったのに、入学後に成績が伸び悩む。
生徒さんにとっても、保護者の方にとっても、とてもつらい状況だと思います。
しかし、これは必ずしも「受験勉強が無駄だった」ということではありません。
受験のために集中して勉強したからこそ、入学後になって、それまで後回しにしていた課題が見えてくることがあるからです。
受験では、志望校の出題傾向に合わせて学習することが重要です。
限られた時間の中で合格を目指す以上、すべての分野を同じように勉強するわけではありません。
志望校でよく出題される分野を重点的に学習し、出題されにくい分野は優先順位を下げる。
これは、受験対策としては当然のことです。
そのため、合格した時点では、まだ十分に取り組めていない領域が残っていることがあります。
特に、国語は読解・知識・記述など、必要な力が多岐にわたります。受験ではある程度の点数を取れていても、「記述は最後まで対策しきれなかった」「語彙や漢字は後回しになっていた」「選択問題は取れるけれど、自分の言葉で説明するのは苦手」といった課題が残っていることがあります。
合格したからといって、すべての課題が解決したわけではないのです。
受験は、国語だけでなく複数の教科の総合点で合否が決まることも多いものです。
そのため、国語に多少の弱点があっても他の教科で補って合格できる場合があります。
受験直前に「ここは課題だと分かっていたけれど、対策する時間がなかった」ということもあるでしょう。
こうした課題は、合格した時点で消えるわけではありません。
むしろ、入学後に定期テストなどを受けるようになると、これまで見えにくかった弱点が点数として表れることがあります。だからこそ、入学後に一度立ち止まることが大切です。
入学後に国語の成績が伸び悩んだ場合、必要なのは、「もっと勉強しなければ」と焦って勉強量を増やすことではありません。なぜ得点できていないのかを分析することが大切です。
例えば、
・記述問題で点数を落としている
・選択問題で間違いが多い
・漢字や語彙などの知識問題が不足している
・文章そのものを正確に理解できていない
・時間が足りず、最後まで解き切れない
など、原因によって必要な対策は異なります。
まずは、どの領域で点数を失っているのかを正確に把握しましょう。
そのうえで、受験時に十分に取り組めなかった部分を一つずつ補っていけばよいのです。
「後から勉強する」ことも、学びの一部です。
私は、受験後に課題が見つかることを、必ずしも悪いことだとは考えていません。
受験というのは、その時点で合格するために必要なことを優先して学ぶものです。
だからこそ、受験が終わった後に、「ここはまだ十分にできていなかった」と分かることがあります。そして、そこからあらためて学べばいい。
考えてみれば、これはとても合理的な仕組みなのかもしれません。
受験で必要なことを先に学び、入学後にまだ足りなかった部分を学び直す。
そうやって、自分に必要な力を少しずつ補っていくことも、学ぶということの一つの形です。
合格はゴールではなく、その先の学びの始まりでもあります。
そして、学びは生涯続くものだと私は思っています。