中学生で困らないために、小学生のうちに取り組んでおきたいこと

小学生のうちは、国語の勉強であまり困ることがなくても、中学生になってから急に文章が読めなくなった、成績が伸びなくなったという生徒さんがいます。
中学校では、文章が長くなり、扱う内容も難しくなります。学年が上がるにつれて古文・漢文も加わり、単に文章を読めるだけでは対応しにくくなっていきます。

では、中学生になってから困らないために、小学生のうちに何を身につけておけばよいのでしょうか。

小学校受験から大学受験まで、さまざまな年代の生徒さんと学んできた立場から申し上げると、特に大切なのは次の3つです。
・読解力を身につけること
・文章を書き上げる力を身につけること
・社会に対する理解を深めること

① 読解力を身につける
まず大切なのは、文章を正しく読む力です。

国語の読解で大切なのは、単にテストで点数を取ることだけではありません。
筆者の主張を読み取り、文章の要旨をつかむ力を早いうちに身につけておくことを意識しましょう。いずれ英語の長文読解や、将来、社会に出てからも役立つ力です。

したがって、小学生のうちに説明文・論説文を正確に読み取る力を養っておくことをおすすめします。
中学生になると、文章の内容は次第に抽象的になり、さらに古文・漢文も学習に加わります。
そのため、「なんとなく読む」のではなく、文章の構造を捉え、筆者の主張や具体例の役割を整理しながら読む習慣を早い段階で身につけておくことが重要です。

正しい読み方を身につけておけば、学年が上がって文章が難しくなっても、対応しやすくなります。

また、正確に文章を読む力は、知識を蓄積するためにも必要です。
文章を正しく理解できなければ、そこで得た情報を自分の知識として蓄えることも難しくなります。正しく読み、理解したことを知識として蓄積していくことが、その後の思考の土台になります。

小学生のうちから、さまざまなジャンルの文章に触れ、要旨をつかむ読み方を意識しましょう。そのうえで、少しずつ難易度を上げていくとよいでしょう。

② 文章を書き上げる力を身につける
もう一つ大切なのが、自分の考えを文章にまとめ、最後まで書き上げる力です。

小学校6年生の一つの目安として、400字程度の文章を30分以内で書き上げられることを目指してみるとよいでしょう。中学受験をする場合は、20分程度を一つの目標にしてもよいと思います。

さらに余裕があれば、
・テーマについて自分の考えを書く「自由記述型」
・文章を読んで自分の考えを書く「課題文型」
・グラフや表などの資料を読み取って書く「資料型」
という3つの形式に触れておくと、その後の作文・小論文にもつながります。

難しい場合は、まず自由記述型から始めても構いません。

大切なのは、頭の中で考えるだけで終わらせず、自分の考えを文章として最後まで形にする経験を積むことです。

③ 社会に対する理解を深める
そして、意外と見落とされやすいのが、社会に対する理解です。

新聞やニュースなどを通して、日常的に世の中の動きに触れる習慣をつけておきましょう。
分からない言葉が出てきたら、そのままにせず調べる。なぜこのようなことが起きたのかを考える。そして、「自分はどう思うのか」を言葉にしてみる。
こうした積み重ねによって、知識だけでなく、語彙や思考力も少しずつ育っていきます。

ここで大切なのは、ただニュースを見ることではありません。世の中で何が起きているのかを知り、「なぜこうなったのか」「どうすればよいのか」「自分はどう思うのか」と考える。この習慣が、思考力を育てていきます。

また、社会で起きていることに触れる中で、「もっと知りたい」「この問題を解決したい」という問題意識が生まれ、それが将来の興味や目標につながることもあります。

同じ社会問題に小学生のときに出会うのと、高校生になってから初めて出会うのとでは、それまでに蓄積してきた知識や考えた経験に大きな違いが生まれます。

早い段階から社会に目を向けることは、その後の学習だけでなく、ものの見方や考え方にも影響していくのだと感じています。

このように、小学生のうちに身につけておきたいのは「正しく読んで、考えて、表現する力」です。
小学生ですべてを完璧にする必要はありません。

「文章を正しく読む」「読んだことを整理する」「知識として蓄える」「自分で考える」「考えたことを言葉にする」、という経験を積み重ねておくことことが大切です。

こうした力は、中学校に入ってから突然必要になるものではありません。小学生のうちから少しずつ身につけておけば、学年が上がって文章が難しくなったときにも、その力が土台になります。

早い段階で思考力と読解力――正しく読んで、理解し、整理し、考える力――を身につけることは、受験のためだけではなく、その後の人生を豊かにすることにもつながると考えています。

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