高校生の皆さんと志望理由書を作成していると、志望学部を決めた理由や、そのきっかけについて掘り下げていくことになります。
その中で、必ず出てくるのが「なぜその学部を目指そうと思ったの?」という問いです。
大学受験を控えた高校生であっても、将来の職業まで明確に決まっている生徒さんばかりではありません。しかし、「こういうことを学びたい」「こんな仕事に関わりたい」という思いは、多くの生徒さんが持っています。
お話を伺っていると、その原点には大きく分けて二つのきっかけがあるように感じます。
一つは、「好き」という気持ちです。
生き物が好き、語学が好き、本が好き。
「もっと知りたい」「もっと深く学びたい」という純粋な好奇心が、やがて進路や将来の目標につながっていきます。
もう一つは、「問題意識」です。
「なぜこんなことが起きるのだろう。」
「どうすれば今よりよい社会になるのだろう。」
「自分にできることは何だろう。」
そうした疑問や思いを持った経験が、将来の学びにつながることがあります。
実際に志望理由書を作成する際、生徒さんから聞く話はさまざまです。
「法律の力で困っている人を支えたいから、弁護士を目指したい。」
「海の生き物が好きだから、海洋環境を守る仕事に関わりたい。」
「教育格差をなくすために、教育について研究したい。」
目標は一人ひとり異なりますが、その背景には必ず、その人自身の経験や考えがあります。
そして、そのきっかけは特別な出来事だけではありません。
小学生の頃に読んだ一冊の本。
学校で学んだ内容。
家族との会話。
旅行先で見た風景。
ニュースで知った社会の出来事。
何気ない日常の中で生まれた小さな気づきが、将来の進路につながることは少なくありません。
例えば、スーパーで輸入品と国産品の価格の違いに興味を持ち、「なぜ同じ商品でも価格が変わるのだろう」と考えたことをきっかけに、経済学部に進学した生徒さんもいらっしゃいました。
将来につながる「問い」は、決して特別な場所にあるわけではありません。
毎日の生活の中にある小さな疑問や発見が、学びの出発点になるのです。
だからこそ、私は小学生の授業でも、ただ答えを覚えることだけではなく、「なぜそう思ったの?」「どうしてそう考えたの?」という対話を大切にしています。
自分の考えを言葉にする経験は、思考力を育てるだけでなく、自分自身の興味や関心を深めることにもつながります。
子どもの頃に抱いた「好き」という気持ちや、「なぜだろう」という疑問は、思っている以上に、その後の人生を形づくる大切なものです。
私はこれからも、一人ひとりの中にある「好き」という気持ちや小さな疑問を大切に育んでいきたいと思います。
子どもたちが自分自身の未来を考える力を身につけられるよう、日々「対話」を重ねていきたいです。