「要約力はどのくらいで身につきますか?」
保護者の方や生徒さんから、度々いただくご質問です。
生徒さんを見ている限り、要約力の向上には何か月もかかるわけではありません。
もちろん個人差はありますが、初めて要約に取り組む生徒さんでも、早ければ数回でコツをつかみ始めることが多いです。
要約力が比較的短期間で伸びる理由は、要約を通して文章の要点を意識して読むようになるからです。
実際の生徒さんの例をご紹介します。
以前、読解型の小論文が出題される大学の推薦入試を受験した生徒さんがいました。
彼女はそれまで要約の経験がほとんどなく、入試まで残り1か月という時期から対策を始めました。
期間が限られていたため、毎日過去問の文章を要約してもらうことにしました。
しかし、最初はなかなかうまくいきませんでした。
重要だと思う箇所に線を引きすぎてしまい、どこが本当に大切なのかわからなくなってしまう状態だったのです。
一週間ほど一緒に見直しを続けましたが、なかなか要点を絞ることができませんでした。
10日ほど経った頃のことです。
彼女から送られてきた要約は、それまでとは見違えるほど整理されていました。
「要点を掴めるようになったね」と伝えると、
「今日は苦労せずにまとめられました」
という返事が返ってきました。
その日以降、彼女の要約は安定し、文章の要点を的確に押さえられるようになりました。
そして、志望校にも見事合格しました。
試験当日は、終了時に合格を確信できるほどの手応えがあったとのことでした。
おそらく彼女は、10日間の反復によって、要約の手順を「作業」として身につけることができたのだと思います。
前述したように、もちろん個人差はあります。
しかし、小学生の生徒さんでも2〜3回取り組むうちに、「要点を意識して読む」ことには慣れる印象があります。
要約の本当の価値は、文章を短くまとめることではありません。
文章のどこが重要なのかを考えながら読む習慣が身につくことです。
その結果、文章全体の構造や筆者の主張が見えやすくなります。
つまり、「読み方」が変わるのです。
慣れてくると、長文を読んだ際に自然と「一言で言うと何の話か」を考えられるようになります。
これは私自身も大学受験時代に実践していた方法です。
文章の構造と要旨をつかんでから設問に取り組むと、内容が整理されているため、格段に解きやすくなります。
要約は特別な才能ではありません。
正しい方法で繰り返し練習すれば、誰でも身につけることができます。
まずは文章を読み終えたあとに、「一言で言うと、何の話だったか」を考えてみてください。
その積み重ねが、要約力と読解力の向上につながります。