思考力や好奇心を育むきっかけは、特別な学習の場だけにあるわけではありません。
日常生活の中にも、子どもたちの興味・関心を広げる機会はたくさんあります。
そのために大切なのは、「子どもの視点の先には何があるか」を意識することです。
授業中、生徒さんから質問をいただくことがあります。
例えば、「どうして最近、夏がこんなに暑いの?」という疑問です。
こうした何気ない疑問から、地球温暖化の仕組みや近年の気温の変化、今後の予測などについて話を広げることができます。さらに、京都議定書やパリ協定といった国際的な取り組み、再生可能エネルギーなどにも触れることができます。
そこから、個人や社会に何ができるのか、さまざまな視点から一緒に考えていくこともできるでしょう。
読解の授業でも、課題文に書かれている内容から話を広げていくことがあります。
例えば、課題文に登場した「子ども食堂」について、感じたことを話し合ったこともありました。そこから格差社会へと視点を広げ、子ども食堂が増えてきた背景についてもお伝えしました。
このように、出発点は疑問だけでなく感想でも構いません。
疑問に答えたり、感想を深めたりすることで、生徒さん自身がさらに学びを深めていくことがあります。対話を通して知識を整理したり、関連する情報と結びつけたりすることで、記憶にも残りやすくなるでしょう。
作文や小論文の授業でも、問いに対する答えや原因が一つとは限らないことがあります。
そうしたときに複数の視点から物事を考えることは、社会への理解を深めるよい機会になります。
次第に、生徒さんがご自身で興味を持ったことを積極的に調べ、文章にまとめてくださるようになることも珍しくありません。
こうした対話は、授業の中だけでなく、日常生活でも積み重ねていくことができます。
例えば、ニュースを見て感じたことや、身の回りで起きた出来事について話をすることも、好奇心を育むきっかけになります。
一つの何気ない疑問や感想をきっかけに、少しずつ視点を広げていく。そうした積み重ねが、物事を深く理解し、自分なりに考える力につながっていくのだと思います。
そして、日常の対話を通して育まれた興味・関心は、国語の読解や作文、小論文にも生かされていきます。物事の背景を知ろうとしたり、異なる立場から考えたりする経験が、自分の考えを深め、言葉にする力にもつながるからです。
私自身も、わからないことは調べ、生徒さんたちと対話を重ねながら、ともに学び、成長してきました。
大切なのは、子どもの視点の先にあるものを一緒に見つめ、対話を重ねていくことなのです。